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大阪地方裁判所 昭和63年(わ)2983号 判決

本店所在地

大阪市大正区泉尾二丁目一三番一三号

中井産業株式会社

(右代表者代表取締役 中井敏也)

本籍

大阪市東区高麗橋四丁目四〇番地

住居

大阪府吹田市千里山西四丁目三九番 千里山ロイヤルマンションE-四〇四号

会社役員

中井敏也

昭和二二年六月二一日生

右中井産業株式会社に対する法人税法違反、中井敏也に対する所得税法違反、法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人中井産業株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人中井敏也を懲役一年六月及び罰金三二〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人中井敏也において右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人中井敏也に対し、この裁判が確定した日から三年間その懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人中井産業株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪市大正区泉尾二丁目一三番一三号に本店を置き、昭和五九年一一月一日から同所においてパチンコ店「プリンスホール」を経営する資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人中井敏也(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括する一方、同年一〇月三一日までは同所で同パチンコ店を個人で経営していたものであるが、

第一  被告人は、自己の所得税を免れようと企て

一  昭和五八年分の所得金額が一億一六五七万一七五四円(別紙一修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名の定期預金等として保留するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、所得税確定申告書の提出期限である昭和五九年三月一五日までに、所轄吹田税務署長に対して同申告書を提出せず、もって不正の行為により、被告人の昭和五八年分における所得税七二四九万七六〇〇円(別紙六税額計算書参照)を免れ

二  昭和五九年分の所得金額が九八九三万四五八六円(別紙二修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同六〇年三月一四日、大阪府吹田市片山町三丁目一六番二二号所在の所轄吹田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八九万三三六五円で、納付すべき所得税額はない旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告人の昭和五九年分における所得税五四三四万五八〇〇円(別紙六税額計算書参照)を免れ

第二  被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一  被告会社の昭和五九年一一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における所得金額が一七〇三万九四〇一円(別紙三修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名の定期預金等として保留するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、同六〇年二月二八日、大阪市港区磯路三丁目二〇番一一号所在の所轄港税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が欠損一一六万八一三三円で、納付すべき法人税額はない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における法人税七二一万三九〇〇円(別紙七税額計算書参照)を免れ

二  被告会社の昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における所得金額が七一三一万五一四二円(別紙四修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同六一年二月二八日、前期港税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五四七万一五四八円で、これに対する法人税額が一六七万八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九八七万二〇〇円と右申告税額との差額二八一九万九四〇〇円(別紙七税額計算書参照)を免れ

三  被告会社の昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における所得金額が三二五二万九六五六円(別紙五修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同六二年二月二六日、前期港税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二六万三五四五円で、これに対する法人税額が三六万六三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一三〇七万五八〇〇円と右申告税額との差額一二七〇万九五〇〇円(別紙七税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書一〇通

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書五通

一  末安忠則(二通)、北光、中井たつゑ、中井秀次、山口博及び中井清実の検察官に対する各供述調書

一  伊藤茂三郎の検察官に対する昭和六三年七月二四日付、同月二九日付(二通)各供述調書

一  末安忠則、中村修、黄友雲水及び中井祥雅に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(証拠番号22、28のもの)

判示第一の事実全部につき

一  収税官吏作成の査察官調査書一二通(証拠番号13ないし21、23、25、29のもの)

判示第一の一の事実につき

一  伊藤茂三郎に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(証拠番号24のもの)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号1のもの)

一  港税務署長作成の証明書(証拠番号4のもの)

判示第一の二の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(証拠番号26、27のもの)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号2のもの)

一  吹田税務署長作成の証明書

一  港税務署長作成の証明書(証拠番号5のもの)

判示第二の事実全部につき

一  伊藤茂三郎の検察官に対する昭和六三年七月二六日付供述調書

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(証拠番号30、33)

一  被告会社代表者作成の証明書

一  法人登記簿謄本

判示第二の一の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号6のもの)

一  港税務署長作成の証明書(証拠番号9のもの)

判示第二の二及び三の各事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(証拠番号32のもの)

判示第二の二の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号7のもの)

一  港税務署長作成の証明書(証拠番号10のもの)

判示第二の三の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号8のもの)

一  港税務署長作成の証明書(証拠番号11のもの)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社 法人税法一五九条一、二項、一六四条一項

2  被告人 判示第一の所為につき所得税法二三八条一、二項(懲役と罰金との併科刑を選択)

判示第二の所為につき法人税法一五九条一項(懲役刑を選択)

二  併合罪の処理

1  被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条一、二項(懲役刑については犯情の最も重い判示第一、一の罪の刑に加重、罰金刑については判示第一の各罪の罰金額を合算)

三  労役場留置(被告人) 刑法一八条

四  刑の執行猶予(被告人) 刑法二五条一項(ただし、懲役刑のみ)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 白井万久)

別紙一

修正損益計算書

中井敏也

昭和58年1月1日~同58年12月31日 (No.1~1)

〈省略〉

別紙二

修正損益計算書

中井敏也

昭和59年1月1日~同59年12月31日 (No.2~1)

〈省略〉

別紙三

修正損益計算書

中井産業(株)

昭和59年11月1日~同59年12月31日 (No.1~1)

〈省略〉

別紙四

修正損益計算書

中井産業(株)

昭和60年1月1日~同60年12月31日 (No.2~1)

〈省略〉

別紙五

修正損益計算書

中井産業(株)

昭和61年1月1日~同61年12月31日 (No.3~1)

〈省略〉

別紙六

税額計算書

中井敏也

〈省略〉

別紙七

税額計算書

中井産業株式会社

〈省略〉

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